藍の華 |
所用で栃木県の益子に行きました。
用事が済んだ後はレンタサイクルで街中をスイスイ。
益子は言わずと知れた陶芸の里です。
記念館で濱田庄司や島岡達三の大鉢や大皿を鑑賞できるだけででなく、
中央の通りには器のお店が並んでいて、
若い作家たちの作品を手に取って眺めて歩くのも楽しいひと時でした。
でも今回は器のことではなくて、藍染めの話です。
藍染めの現場を見るのは初めて。しかも「藍の華」まで見られて嬉しかったので。
おや、藍染工房ですって。どうも見学できそうですよ。
作業の邪魔にならないようにして、ちょっとだけ写真を撮らせていただきます。
これがアイの葉を乾燥、発酵させて作るという藍玉の「蒅(すくも)」ですね。
そのお蔭でそれまで葉が新鮮な間しかできなかった藍染めが、
時期を問わず可能になったという画期的な工夫と聞いています。
詳しくはこちらを。
しかし他の伝統技術と同様、蒅作りの継承者は今や数えるほどになってしまったとか。
さらに発酵させる「藍建て」と言う作業の後、甕に布を漬けていきます。
この「藍の華」と呼ばれる泡が出来た時が染めるタイミング。
蒅を使って染める色は布を何回も甕に浸すことで段階的に濃くなっていきますが、
こちらのグラデーションは染める時間で調節したとのこと。
実は友人が藍染めをやっていて、その苦労を前から聞いてはいました。
工房に通って甕を利用させてもらう藍建ての微妙な加減の難しさや、
甕に浸して重くなった布を持ちあげる大変さや。
藍は特に爪に色が残るそうで、今のようにカラフルなネイルが流行る前から、
彼女の指先はいつも青く染まっていました。藍染め作家の勲章のように。
工房の庭先では藍染めに使われる種々の植物を育てています。
(左) 右の鉢が一般的なタデ科のタデアイ。
7月ごろに咲くという花が咲いていたらよかったのに。
でも工房の人のお話では、
藍染め用の葉は花が咲く前に摘まないと色が薄くなってしまうんですって。
その隣は琉球で藍染めに使われてきたキツネノマゴ科のリュウキュウアイ。
(右) 琉球藍の手前にあるのがトウダイグサ科のヤマアイで、
古来この葉を布に摺りつけて緑に染めていたのが、素朴な藍染めの方法だったようです。
(左) インドアイはなんとマメ科の植物でした。
あの青い色を手に入れるために、各地でいろいろな植物を利用した様子が窺われます。
(右) お隣に花を摘んで紅に染めるベニバナも植えてありました。
紅花摘みは棘が少しでも柔らかい早朝にするのだそうですが、
葉のトゲトゲが見るからに痛そう。
胡麻和えの合いそうな小鉢を買いました(^^ゞ
下に敷いているのは友人の作品ですが、
藍甕に浸したらそりゃ重いはず。
【 オ マ ケ 】
益子陶芸美術館で面白いものを見つけましたよ。
それから籾殻を詰めたリンゴ箱なんかに入れて運べば安心というわけ。
昔プチプチのような梱包材のなかった頃のパッキングの知恵に感心してしまいました。
さすが江戸時代から実用の焼き物を作ってきた益子の美術館ならではの展示です。
ここのティールームではケースに並んでいる益子焼のカップの中から
好きなカップを選んでコーヒーを淹れてもらえます。
一口に益子焼と言っても作家の個性はさまざまで、
これステキ、あらこっちも、う~ん、どっちにしよう…って困ってしまいました。
★ 日下田(ひげた)藍染工房
でも、「藍」の話題になったからには、私、アイ、がコメントしなくちゃ・・・(笑)。
藍染めの原料として、いろいろな植物が使われているとは知りませんでした。
こちらのブログは、いつも勉強になります!
急須のパッキング・・・そうそう、昔は、りんごも木製リンゴ箱に籾殻を詰めて運んでいましたね。
コメントありがとうございます。
実はこのレポ作っている時、アイさんのこと思い出していたんですよ。
急須の縛り方なんか、アイさん詳しいかも、長さなんか計算してるかも、って(笑)。
藍染めの原料にいろいろな植物が、なんてことは、私にも新鮮な話でした。
やっぱり現場の人に話を聞けるっていいですね。