ヤッホー。
pallet & ゆき隊の “夏山 of 2014” は、あの峰々を越えて中央奥の空木岳まで。
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前日は駒ヶ根駅前に泊まって始発のバスでロープウェーしらび平に向かいます。駒ヶ根の駅前には、東を南アルプス、西を中央アルプスに挟まれた駒ヶ根市の地勢を表す花崗岩のモニュメントがありました。ガリバーになったつもりで両アルプスを見下ろしてみます。フムフム、ここをこう歩いて…
夏休み中は大混雑のロープウエーも早朝なので一台待っただけで済みました。あっという間に2611mの千畳敷まで。今日は霞んではいるものの鋸岳、甲斐駒ヶ岳から赤石岳まで南アルプスが一望のもと、農鳥岳と塩見岳の間にちょこっと富士山も顔を出しています。
歩き始めはゆっくりと、登山道沿いの花を撮りながら登っていくと、30分ほどで極楽平、木曽駒~空木の稜線に出ました。西側の展望が開けて、皆さん、同定と撮影に余念なく。
目の前には主稜線から外れて西千畳のカールの向こうにお花畑で知られる三ノ沢岳がドカン。その向こうに恵那山も見えます。
北には木曽駒ヶ岳、宝剣岳。遠く浮かんでいるのは乗鞍岳。
乗鞍岳アップ。さて、今日はちょっと時間がかかりそう、そろそろ出発しましょう。
私たちは南に向かって進みます。まず2回下って上って左の檜尾岳へ、それから稜線を辿って右端の熊沢岳へ、また大きく下りて上り返すと空木岳、空木岳を越えてその右に見える南駒ヶ岳、さらにその先の越百山へ。進む稜線が右に左に重なって見えます。
このルート、改めて見直すと稜線沿いにちゃんと岩々が露出しているのがわかりますけどねぇ。二万五千分の一の地図でもちゃんとその通りに岩稜マークがついています。でもやっぱり実際に歩いてみないとわからないもんです。アップダウンの連続といってもそんなに標高差はないようだったのに、結構曲者でした。
あら、ヒメウスユキソウ。またの名をコマウスユキソウ、中央アルプスの固有種です。2年前木曽駒、宝剣と歩いた時はもう終わりかけていて残念だったけど、今回はフレッシュな状態をあちらこちらで見ることができました。
まず島田娘を越えて濁沢大峰への鞍部まで下りて行きます。岩ゴロゴロながら、まぁ開けた斜面です。
タカネツメクサの大きなブーケ。高山植物は今が咲き始め、若々しく好い状態で、しかもそれぞれの株が大きくて見応えあり。
下りてしまえば、しばらくはハイマツの間を天上漫歩です。そうそう縦走はこうでなくちゃ。
ふーん、このあたりは飛行機のルートにあたっているらしい。何本かの飛行機雲が交差していきます。
で、それがほどけていくのを見ているのも面白い。な~んてまだ余裕あり。
しかしちょっと遊び過ぎたのかな。極楽平から濁沢大峰まで1時間半。
いよいよ檜尾岳に向かって岩稜帯が続きます。
登って降りて、また登って。一帯の花崗岩はあまり風化していなくて、表面がザラザラ、結晶も尖っていて指先にやさしくありません。照りつける太陽に反射してキラキラ光ってるのはきれいなんだけど。
ところどころには鎖や足場が設置されていて助かります。後ろ向きで足場を探す苦労が半減。ところでこの輪っか、コピーしてペーストしたい箇所あり。
樹林帯まで下ってきたら
7月の桜!
休憩、休憩。palletさんは何してるんでしょうね。ああ、そう。雪渓に「あたって」いるんですって。ほんと、雪渓の側は離れていても涼しい空気がいい気持ち。
また歩き出すと、チョウノスケソウが抹茶味のソフトクリームに。まだ、咲いている花を見たことがないんですよ。ちょっと遅かったなぁ。
ハイマツの中をジグザグと、あれが頂上かと思うとさにあらず、まだまだ先へ続きますが、
一歩一歩足を運んでいればいつかは着きます。この檜尾岳から東へ10分ほどの避難小屋の周りのお花畑が見ものだそうですが、残念、今日は寄っていく余裕はありません。千畳敷からここまで4時間もかかっています。昭文社地図のCT、どうも厳しそうなので2、3割増しは覚悟していましたが。
そうそう、さっきの輪っかを貼り付けたかったのはここ。3年前三ノ沢岳からこの山並みを眺めた時から、いつか縦走したらやってみようって思ってました。だって「ヒノキオ岳」、〇を付けたら「ピノキオ岳」ですもん。でも親指と人差し指ではやっぱりちゃんとした〇にならない。そこで輪っかのコピペというわけ(^^ゞ
この辺りまで抜きつ抜かれつ、休憩ごとに言葉を交わしていた若者3人組が俄然スピードアップ、とうとう置いていかれてしまいました。まあ、焦らない、焦らない、マイペースで行きましょう。
足元の花は青と黄色のスウェーデンカラー、ってまだ
6月の旅行気分が抜けません。あ、もう少しレポにしたいことがあるんだった(^^;
やがて、おおらかに胸を開いた空木岳の姿が間近に見えてきました。いいですねぇ。こういう解放感が縦走の醍醐味というものでしょう。
振り返ってみると、あらら、結構なでこぼこ稜線。
少し違った色合いの花も載せなくちゃね。この他にも、ミヤマダイコンソウ、シオガマ、フウロ、シャクナゲ等々、お馴染みの花がたくさん咲いていました。
そのうちにルンゼとは言わないまでも体がすっぽり入りこみそうな狭い箇所や、一枚岩のトラヴァースが出てきます。ペンキマークも少なくてルートを見極めてから足を出さないと途中で苦労することに。でも先を行くパーティーが「そこ、左からですよ~」なんて声を掛けていってくれるのはありがたいこと。後ろの人に道を譲ると、ひょいひょいと登った後、手を差しのべてくれたり。ん?もしかしてシルバーシートと同じ心遣い?
(photo by pallet)
よっこらしょっと。
そこを抜けるとしばらく穏やかな道が続いて、おや、オオヒョウタンボクは子狐の兄弟。
こっちの岩は狸か猫か。頬に手を当てて遠くを見ているようなポーズが御愛嬌。中央アルプスの岩々はなかなか愉快な割れ方をしています。
14時15分、やれやれ、やっと熊沢岳に着きました。今日泊まる予定の木曽殿山荘には、予約した時に「16時半までに到着できないような時は、熊沢岳から連絡して下さい」なんて言われています。あと約2時間? ビミョ~。連絡しておかないと夕飯の用意をしてもらえないかしら。先を行く若者3人組に「『少し遅れるそうだけど』って言っておいてね」と頼んでありますが。同じく遅れそうな御夫婦と何度か試してみましたが、携帯電話が通じません。仕方ないですね。
真面目に黙々と歩き続け…って、時々やっぱりカメラを向けたくなってしまう。バックの登山道に紛れてしまったような小鳥はカヤクグリ? 先導してくれるようにちょこちょこと先を行くので、つい。待って待って、ちょっとじっとしててよ。
携帯電話は次の東川岳でもやっぱりダメ。でもそこからはもう30分とかからないでしょう。
ざれた急な道を気を付けて下っていきます。そのころにはすっかりガスが立ち込めてホシガラスもモノトーンの世界に溶け込んでました。
あっ、「見えたよ~」とつい大きな声。木曽殿山荘到着は16時40分、ちゃんと用意してもらえて、一休みしたら夕食となりました。いや~ビールがうまいっ。皆さん今日のコースの感想は同じ。「昭文社のここのCTは厳しい。」 タイムだけでなく、「百名山98番目で一番きつかった」なんて声もありました。
翌日に続きます(
こちらから)