奥多摩の化石

昔々、大昔、奥多摩一帯は海の底でした。大部分が２億５千万年前から６千５百万年前の中生代に堆積した地層でできていて、そのため所々の石灰岩の露頭にはサンゴやコケムシ、フズリナ等の化石が含まれていると言われています。

はたしてこれはサンゴの化石？　　



現在の日本列島が出来上がる前、地上では恐竜たちが跋扈していた頃、遠い海の底に堆積した地層が、その後プレートの動きに伴って隆起して地上に出てきたというわけ。　　
　　　　　　　　　　　「埼玉の自然をたずねて」（堀口萬吉　築地書館）より

そんな石灰岩中のサンゴは、たいていはプレパラートにすれば顕微鏡で見える程度だけれど、中には肉眼で認識できるものもあるとか。でもそれはせいぜい１ｃｍに満たない大きさで、ルーペで表面を舐めるように調べてみないとわからないと思っていました。
ところが、ある時こんな石灰岩があったので、中を覗き込んでみたら、
あれ？　あれ何だろう。
石灰岩の表面で気がついたのは２ｃｍほどのこんなもの。

もしかしてサンゴ？
本で見た薄い手のひらのようなサンゴの化石とは違うけれど、これだって立派な化石じゃないかしら。木炭の断面のようなこの形は、現在の菊目石と呼ばれる六放サンゴにとてもよく似ています。ドキドキ。

と逸る気持ちを抑えて、写真に撮り、詳しい人に見てもらうと…

バンザ～イ。れっきとしたサンゴの化石ですって。とうとう見っけた！　中生代に生息していた単体性イシサンゴの仲間。
刺胞動物門、花虫綱、六放サンゴ亜綱、イシサンゴ目。
ふむふむ、イソギンチャクの親戚のようなものですね。
こんなココナツマカロンみたいなのもありました。
こんなスジスジも。
その拡大。これはレースサンゴとも呼ばれる外肛動物コケムシの化石らしい。
そしてこんなのも。三角貝かも ？？？

図書館でふと手にした本から始まった化石探しの山歩き。熱心に探し回ったわけではないけれど、気にしながら歩くこと数年で、ようやく出会ったサンゴの化石です。竜宮城にあるような珊瑚と違っても、この写真は私の宝物 (^_-)-☆